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2025.07.11
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三次元測定機の性能を客観的に評価するためには、国際標準規格(ISO 10360シリーズ)および日本産業規格(JIS B 7440シリーズ)が重要な役割を果たします。これらの規格は、測定機の精度を保証し、信頼性の高い測定結果を得るために不可欠です。
代表的な規格の一つが「ISO 10360-2」で、主に「長さ測定誤差(E₀)」「繰返し精度(R₀)」を評価します。また、近年では測定機の多様化に伴い、ISO 10360-10(光学式)やISO 10360-8(非接触プローブの位置測定)といった規格も整備されています。
測定誤差とは、指定された距離を測定したときの実測値と基準値との差です。この値が小さいほど測定値が実寸に近く、正確に測定できることになります。
繰り返し精度とは、対象物の特定ポイントを繰り返し測定した際の測定値のばらつきです。このばらつきが小さいほど、測定の安定性が高く、測定機が高精度であると評価されます。
これらの規格に準拠した評価は、適切な測定機を選択する上で重要な指標となります。
三次元測定機の精度評価には、さまざまな手法があります。ここでは、代表的な3つの方法を紹介します。
1.最大許容長さ測定誤差 E₀,MPE【ISO10360-2】
「長さ測定誤差の最大許容誤差」を意味します。例:E₀,MPE = (1.5 + L/300) µm
これは「測定長 L に比例する誤差の上限」であり、測定対象が大きくなるほど誤差も増えることを考慮した式になっています。
寸法標準器を使用し、両端を挟み込むようにして測定を繰り返します。
測定はxyz軸および対角線方向を含む7方向・各5回の試験を実施し、合計105個の測定データを取得します。そのすべてが規定値以内であれば、測定機の精度が検証されたとみなされます。
2.長さ測定の繰り返し範囲の最大許容限界 R₀,MPL【ISO10360-2】
「繰返し精度の最大許容範囲」を表します。測定した複数のデータのばらつき幅を確認し、その最大値が基準内であるかを確認します。 同一箇所を3回繰り返し測定し、それぞれの測定結果を比較します。最大値と最小値の範囲を評価し、繰り返し範囲R₀を算出します。
3.最大許容シングルスタイラス形状誤差PFTU,MPE【ISO10360-5】
検査用標準球の指定点(25点)を測定し、取得した全測定点を基に最小二乗球の中心を算出します。各測定点から最小二乗球の中心までの距離(R)を計算し、Rmax – Rminを求めます。
さらに、スタイラスチップと検査用標準球の形状に関する不確かさを加味した拡張不確かさを算出します。この値が規格値以内であれば、測定機の精度が基準を満たしていると判断されます。
三次元測定機の精度評価には、国際標準規格(ISO 10360)や日本産業規格(JIS B 7440)が用いられ、測定機の信頼性を数値化することが重要です。
評価手法として、長さ測定誤差や繰り返し精度、形状誤差の確認が挙げられます。これらの規格や評価方法を理解し、適切に活用することで、より精度の高い測定結果を得ることが可能です。
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