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三次元測定機コラム

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2024.04.18

2024.04.18

三次元測定機の価格相場とは?選び方や導入する際の注意点も解説

三次元測定機とは、縦・横・高さからなる三次元の座標値を取得し、対象物の寸法や三次元形状を正確に測る測定機です。従来のハンドツールでは難しい複雑な対象物も計測できるため、製造業や品質管理には無くてはならないツールとなっています。そんな三次元測定機ですが、導入の際にネックとなるのがコストの高さです。特に大型で高精度な機種は、膨大な導入コストがかかることも珍しくありません。当記事では、導入時に気になる三次元測定機の価格相場と、必要なコストについて解説します。

三次元測定機の価格相場と必要なコスト

三次元測定機と一言でいっても、持ち運ぶこともできるポータブル型のものから、専用の測定室に設置して使う据置型のものまで、その種類はさまざまです。測定対象や用途に合わせてさまざまなタイプが登場している三次元測定機ですが、導入する際にもっとも気になるのが価格相場かもしれません。ここでは、三次元測定機の価格相場と必要なコストをご紹介します。

三次元測定機の価格相場

三次元測定機の価格相場は、種類によって大きく異なります。そもそも三次元測定機には、測定方法によって「接触型」と「非接触型」のものがあり、測定対象や用途に合わせて使い分けるのが原則です。フォームファクターで分類すると、「ポータブル型」と「据置型」に分けられます。ポータブル型のものには「卓上型」や「アーム型」、「ハンディ型」などがあり、自由に持ち運んで使用することが可能です。据置型には「門型・ブリッジ型」や「ガントリー型」、「マルチセンサー測定器」などがあり、基本的には専用の測定室に据え置いて使用します。価格相場は種類によって大きく異なり、ハンディ型で小型のものや、門型・ブリッジ型で手動のものは数百万円程度で導入することも可能です。しかし、大型で高精度のガントリー型などは、数千万円以上するモデルも珍しくありません。なお、三次元測定機の種類と特徴については、こちらで詳しく解説しています。

cmm

三次元測定機を導入する前に必要なコスト

三次元測定機を導入するコストは、測定器本体の購入費用だけではありません。例えば、据え置き型のモデルを導入する場合は、温度や湿度を一定に維持できて、地盤のしっかりした専用の測定室を用意する必要があります。なぜなら、測定誤差を最小限に抑えるには、熱膨張や振動の影響を極力抑える必要があるからです。飛行機のエンジン部品を検査できるような大型のガントリー型を導入する場合は、広大なスペースを確保しなければなりません。スペースの確保や測定室の維持には、当然ですがコストが必要です。

三次元測定機を導入した後に必要なコスト

三次元測定機に必要なコストは、イニシャルコストだけではありません。測定機の精度を維持するには、定期的なメンテナンスや接触子のキャリブレーションが必須です。キャリブレーションとは測定器の正確性を確認する作業で、接触型の場合は対象物に触れる接触子を毎回調整する必要があります。なぜなら、接触子の個体差や経年劣化、摩耗によって測定誤差が生じる可能性があるからです。その他には、ハードウェア以外にも、付属ソフトウェアの保守や更新にも一定のコストがかかります。また、三次元測定機を使いこなすには高度な知識や技術が必要となるため、学習コストや教育コストも考慮しておいた方がよいでしょう。

三次元測定機の選び方

三次元測定機には据置型やポータブル型など、さまざまな種類があるとお伝えしました。測定方法にも接触型と非接触型があり、特徴や得意・不得意は全く異なります。機種によって精度も異なるため、測定対象やニーズに合わせて機種を選択するのが重要です。ここでは、三次元測定機の選び方を解説します。

対象物に適した測定方法を選択する

三次元測定機を測定方法で分類すると、接触型と非接触型の2種類に分けられます。接触型は、プルーブと呼ばれる接触子を対象物に押し当てることで三次元座標を測定する三次元測定機です。測定対象に直接触れるため高精度な測定が可能な反面、ゴムのように柔らかい物は正確に測れなかったり、形状が複雑過ぎるものは測定に膨大な時間がかかったりします。一方、非接触型は対象物に光やレーザーを照射し三次元座標を測定する三次元測定機です。複雑な物も効率よく測定できる反面、黒い物や光沢のある物など、光やレーザーを吸収したり反射したりする物は正確に測定できません。このように、測定方法によって特徴はまったく異なるため、測定対象に合わせて適切な測定方法を選択するのが重要です。

コストと機能のバランスを考える

前章でも述べた通り、三次元測定機の価格相場は機種によってさまざまです。持ち運べるポータブルのものや、門型・ブリッジ型で手動の物は数百万円で導入できますが、大きな対象物も測れる大型のガントリー型は数千万円以上するモデルもあります。機種によって多少の差はありますが、大型で高機能のものほどコストも高くなるのが一般的です。サイズについては測定対象の大きさによってある程度の目星はつきますが、必要な機能については検討の余地があります。絶対に必要な機能、できれば欲しい機能、必要のない機能を書き出して、候補を絞り込んでいくのがおすすめです。

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求める精度と許容できる測定時間を明確にする

三次元測定機は、機種によって測定精度も大きく異なります。基本的に高精度のものほど価格も高くなるため、三次元測定機を導入する場合は求める精度を必ず確認しておきましょう。また、精度を求めると接触型が候補になりますが、複雑な対象物を高精度に測定しようとすると膨大な測定時間がかかる場合もあります。当然ですが、高精度で測定時間の短いモデルは、それだけ高価です。三次元測定機を導入すれば、従来のハンドツールとは比較にならないほど短時間で高精度に測定できます。しかし、短時間の捉え方は人によってさまざまです。三次元測定機を導入する場合は、求める精度と許容できる測定時間を明確にしましょう。

三次元測定機を導入するメリット

三次元測定機は従来のハンドツールでは難しい複雑な形状の物も測定できるため、万能な測定器と言われています。用途や種類の多様化に伴い活用の幅が広がりつつあり、3Dプリンタを用いたリバースエンジニアリングなども新たな活用方法の一つです。ここでは、三次元測定機を導入するメリットを改めてご紹介します。なお、三次元測定機のメリット・デメリットについては、こちらも合わせてご参照ください。

複雑で大型の対象物も測定できる

冒頭でも述べた通り、三次元測定機はノギスやマイクロメーターといった従来のハンドツールでは難しかった複雑な形状の物や、大型の物も正確に測定できます。例えば、非接触型の3Dレーザースキャナ・3Dスキャナを活用すれば、接触型でも難しかった複雑過ぎる形状の物も効率よく測定することが可能です。接触型のガントリー型三次元測定機を導入すれば、飛行機のエンジン部品といった非常に大型の対象物も高精度に測定できます。複雑で大型の対象物も正確に測定できるのは、三次元測定機の大きなメリットです。

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測定に必要な工数を大幅に削減できる

三次元測定機の一般的な使い方は、測定環境の整備、キャリブレーション、位置合わせ、座標軸の設定、寸法や三次元形状の測定、といった流れになります。ある程度の事前準備は必要ですが、準備さえ整ってしまえば測定自体は自動で行える三次元測定機も少なくありません。使い方の流れをプログラム化することもできるため、測定に必要な工数を大幅に削減できます。測定プログラムさえ確立できれば、同一品種の別個体を自動で測定できるため、大量生産に対応できるのも三次元測定機のメリットです。なお、三次元測定機の自動測定プログラムについては、こちらで詳しく解説しています。

データを蓄積して後から解析できる

三次元測定機を活用すると、X軸・Y軸・Z軸からなる三次元座標を収集することが可能です。対象物のあらゆる地点の座標値を収集することで、寸法だけでなく位置関係や輪郭形状、幾何公差などを高精度で測定できます。ただ対象物の測定データを蓄積するだけでなく、各種演算によってさまざまな値を算出することも可能です。例えば、取得した三次元形状データと設計時の3D CADを重ね合わせることで、製造時に生じたズレを可視化する輪郭形状検査という用途もあります。

三次元測定機を導入する際の注意点

従来のハンドツールでは難しい複雑で大型の対象物も測定できる、測定に必要な工数を大幅に削減できる、データを蓄積して後から解析できるなど、三次元測定機にはさまざまなメリットがあります。しかし、三次元測定機の導入には注意しなければならない点があるのも事実です。ここでは、三次元測定機を導入する際の注意点を解説します。なお、三次元測定機を導入する際の注意点については、こちらも合わせてご参照ください。

機種によっては広い設置スペースが必要

大きな対象物を測定するには、大型の三次元測定機が必要です。大型の三次元測定機を導入するには、当然ですが十分な設置スペースを用意しなければなりません。例えば、飛行機のエンジン部品も測定できるようなガントリー型の測定器などは、数メートル以上もあるモデルもあります。さらに、測定機の性能を維持し、高精度に測定し続けるには、温度や湿度を一定に保ち、地盤もしっかりした専用の測定室に据え置かなければなりません。なぜなら、測定度差を最小限に抑えるには、熱膨張や振動の影響を極力取り除く必要があるからです。広大な設置スペースの確保や測定室の維持には、膨大なコストがかかります。

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測定できない物もある

三次元測定機には、測定できない物もあります。例えば、プルーブを対象物に押し当てて測定する接触型は、ゴムのように柔らかい物や、変形しやすい物の測定には向いていません。接触子が直接触れるため、対象物の表面に測定痕が残ることもあり、わずかな傷も許されないような物の測定は避けた方がよいでしょう。また、複雑すぎる形状の対象物は、膨大な測定時間がかかる恐れもあります。一方、対象物に光やレーザーを照射して測定する非接触型は、複雑な対象物も効率よく測定することが可能です。しかし、光やレーザーを吸収したり反射したりする黒い物や光沢のある物は、正確に測定できません。粉末塗布スプレーを吹きかけて極薄の白膜を作り測定する方法もありますが、汚損できない対象物に使用するのは避けた方が無難です。

精度を出すにはスキルが必要

三次元測定機で精度を出すには、高度なスキルやノウハウが必要です。一度測定プログラムを確立してしまえば自動で測定できますが、使いこなすにはある種のコツを理解する必要があります。例えば、三次元測定機を精度よく使うために重要なのが、基準面・基準線・原点の設定です。特に、測定の基準となる基準面の設定は非常に重要で、適切に基準面を設定できないと精度が悪くなるばかりか、正しく測定できない恐れもあります。しかし、適切な基準面は測定対象によって異なるため、設定するには豊富な経験や高度なノウハウが必要です。三次元測定機は、導入さえしてしまえば誰でも高精度に測定できると思われがちですが、精度を出すにはスキルが必要だと言うことを覚えておきましょう。なお、三次元測定機で正確に測定するコツについては、こちらで詳しく解説しています。

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まとめ

今回は三次元測定機の価格相場について解説しました。三次元測定機にはさまざまな種類があり、ハンディ型で小型のものや、門型・ブリッジ型で手動のものであれば、数百万円程度で導入できます。しかし、大型で高精度なガントリー型の物などは、数千万円以上するものも珍しくありません。また、設置場所の確保や測定室の維持にもコストがかかります。さらに、イニシャルコスト以外にも、ソフトウェアの保守や更新、使用者の教育などにもコストが必要です。決して安い物ではないため、当記事を参考にニーズに合った三次元測定機を選択しましょう。

◼️参考URL

PICK UP

先進の三次元測定機ピックアップ

三次元測定機メーカー3社(※)が提供している、据置型・ポータブル型・大型測定対象物測定機・ショップフロア向け三次元測定機などの製品を調査し、先進の三次元測定機を選出しました。ここではその中から、様々なニーズに合わせて分かりやすく、「高精度・高効率な三次元測定機」「手頃な価格帯の三次元測定機」「省スペース・手軽な三次元測定機」の3つのタイプに分けて比較・解説していきます。 ※Googleで「三次元測定機 メーカー」と検索し、表示される三次元測定機メーカーを3社選出しました。(2024年2月調査時点)

Global S Scan+

Hexagon

GLOBAL Scan+

引用:https://hexagon.com/ja/products/global-scan?accordId=FD8B3F002EF44CF188B456FAE10B03E4

接触と非接触を両立した最新鋭のセンサー技術で、計測の効率化と安定した精度を実現

センサー

自社製の接触式センサーとレーザー・カメラ・白色光などの非接触センサーが魅力

精度

スタンダード:1.5 + L/333  ACCURACY仕様:1.2 + L/350
ISO準拠

回転ヘッド

7.5°/5°/2.5°ピッチから選択可能な自社製自動回転ヘッドなど豊富なバリエーション

設置環境

測定室環境

ソフトウェア

PC-DMIS

GLOBAL Scan+

CADオフラインティーチング(デジタルツイン)に対応した世界標準のPC-DMISソフトウェアを標準搭載

GLOBAL Scan+

イタリア有数の高級デザイン会社「Pininfarina」による洗練されたプロダクトデザイン

GLOBAL Scan+

Shineテクノロジーを搭載した高精度ラインレーザーHP-L-10.10を採用

Hexagonの公式HPを見る

【選出理由】Global Sは「三次元測定機」を調査した中で、HPL10.10が使用可能な汎用性の高さ、かつ、グローバルマーケットをリードする製品であったため。

CRYSTA-Apex

ミツトヨ

CRYSTA-Apex

引用:https://www.mitutoyo.co.jp/products/measuring-machines/cmm/standard/191-121/

日本での高いマーケットシェアを誇る手頃な価格帯の国内生産の三次元測定機

センサー

実績豊富なレニショー製のセンサーや自社製非接触センサー

精度

ISOに準拠。精度1.7+3L/1000(07.10.06サイズ)

回転ヘッド

実績豊富なレニショー製7.5°ピッチの自動回転ヘッドが主力

設置環境

測定室環境

ソフトウェア

MCOSMOS

CRYSTA-Apex

簡易粗さ計測に対応したセンサー提供可能

CRYSTA-Apex

芯だし顕微鏡オプションの提供が可能

CRYSTA-Apex

日本では老舗の有名メーカー

ミツトヨの公式HPを見る

【選出理由】CRYSTA-Apexは調査した中で、国内のマーケットをリードし、かつ、汎用性・精度のバランスが優れている製品であったため。

XMシリーズ

キーエンス

XMシリーズ

引用:https://www.keyence.co.jp/ss/products/measure-sys/xm/007/2111_01.jsp?cid=NET143&utm_source=zenken&utm_medium=referral&utm_campaign=zenken_xm&ad=zxm_002

省設置スペースで場所を取らず、ゲージ感覚で3次元測定ができる操作性の良い手動計測機

センサー

接触センサーをベースに非接触レーザーも新発売

精度

独自の基準で精度保証

回転ヘッド

手動でフレキシブルな位置決め

設置環境

どこでも可能

ソフトウェア

ユーザーインターフェース

XMシリーズ

どこでも設置動作可能 (※ただし精度保証は23℃±1℃)

XMシリーズ

手で持ってフレキシブルな計測が可能

XMシリーズ

校正点検が不要

キーエンスの公式HPを見る

【選出理由】調査した中で導入の手軽さ、使いやすさが優れていたのがXMであったため。

PICK UP01
高精度&高効率タイプ

Global S Scan+

Hexagon

Global S Scan+

引用:https://hexagon.com/ja/products/global-scan?accordId=FD8B3F002EF44CF188B456FAE10B03E4

接触と非接触を両立した最新鋭のセンサー技術で、計測の効率化と安定した精度を実現

センサー

自社製の接触式センサーとレーザー・カメラ・白色光などの非接触センサーが魅力

精度

スタンダード:1.5 + L/333  ACCURACY仕様:1.2 + L/350

回転ヘッド

7.5°/5°/2.5°ピッチから選択可能な自社製自動回転ヘッドなど豊富なバリエーション

設置環境

測定室環境

ソフトウェア

PC-DMIS

Global S Scan+

CADオフラインティーチング(デジタルツイン)に対応した世界標準のPC-DMISソフトウェアを標準搭載

Global S Scan+

イタリア有数の高級デザイン会社「Pininfarina」による洗練されたプロダクトデザイン

Global S Scan+

Shineテクノロジーを搭載した高精度ラインレーザーHP-L-10.10を採用

Hexagonの公式HPを見る

【選出理由】Global Sは「三次元測定機」を調査した中で、HPL10.10が使用可能な汎用性の高さ、かつ、グローバルマーケットをリードする製品であったため。

PICK UP02
手頃な価格帯タイプ

CRYSTA-Apex

ミツトヨ

CRYSTA-Apex

引用:https://www.mitutoyo.co.jp/products/measuring-machines/cmm/standard/191-121/

接触と非接触を両立した最新鋭のセンサー技術で、計測の効率化と安定した精度を実現

センサー

実績豊富なレニショー製のセンサーや自社製非接触センサー

精度

ISOに準拠。精度1.7+3L/1000(07.10.06サイズ)

回転ヘッド

実績豊富なレニショー製7.5°ピッチの自動回転ヘッドが主力

設置環境

測定室環境

ソフトウェア

MCOSMOS

CRYSTA-Apex

簡易粗さ計測にしたセンサー提供対応

CRYSTA-Apex

芯だし顕微鏡オプションの提供が可能

CRYSTA-Apex

日本では老舗の有名メーカー

ミツトヨの公式HPを見る

【選出理由】CRYSTA-Apexは調査した中で、国内のマーケットをリードし、かつ、汎用性・精度のバランスが優れている製品であったため。

PICK UP03
省スペース&手軽 タイプ

XMシリーズ

キーエンス

XMシリーズ

引用:https://www.keyence.co.jp/ss/products/measure-sys/xm/007/2111_01.jsp?cid=NET143&utm_source=zenken&utm_medium=referral&utm_campaign=zenken_xm&ad=zxm_002

省設置スペースで場所を取らず、ゲージ感覚で3次元測定ができる操作性の良い手動計測機

センサー

接触センサーをベースに非接触レーザーも新発売

精度

独自の基準で精度保証

回転ヘッド

手動でフレキシブルな位置決め

設置環境

どこでも可能

ソフトウェア

ユーザーインターフェース

XMシリーズ

どこでも設置動作可能 (※ただし精度保証は23℃±1℃)

XMシリーズ

手で持ってフレキシブルな計測が可能

XMシリーズ

校正点検が不要

キーエンスの公式HPを見る

【選出理由】調査した中で導入の手軽さ、使いやすさが優れていたのがXMであったため。